voice and tuba

木下正道:双子素数 I-b


双子素数Iの解説はこちら

木下正道:双子素数 I-b(2013)
Masamichi Kinoshita, Twin Prime I-b

「Ⅰ」で使用しなかった二つの短歌に作曲。

四十一番歌:恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか(壬生忠見)
十七番歌:ちはやぶる神代も聞かず龍田川 からくれなゐに水くくるとは(在原業平朝臣)

「Ⅰ」のように双子素数の様々なアスペストを基に作曲したわけではなく、むしろ「Ⅰ」からいくつかのモチーフを抽出し、古典的な技術で再構成したといえる。ただし、いつかの局面で数学的な考え方を取り入れた。しかしここでも、音と言葉の関係は、ほぼ完全に切り離され、時に強引に、時に焦燥をもって突き合わされる。そしてその先には、やはり沈黙が待ち受けている。

【木下正道】