voice and tuba

中川俊郎:3つのデュオローグ、7つのモノローグ、31の断片


中川俊郎:3つのデュオローグ、7つのモノローグ、31の断片(2012)
Toshio Nakagawa, 3 Duologues, 7 Monologues, and 31 Fragments

全体はこのタイトル通りに進行していく。第1デュオローグは、スウィングする4/4拍子の映画音楽風。第2はクラスターの上に乗っかる極端に点描的な音群(この編成でクラスターって……)。第3は点描的にすかすか、穴だらけにされた、ポルカだかタンゴだか分からない舞曲(往年のラッヘンマンを彷彿とさせる?…)。
ここまではまだ普通の二重奏。
「7つのモノローグ」は、Bar.Tuba.それぞれ3曲ずつの独奏曲(順番は奏者の選択に任されている)、そして7曲の中心に置かれる(これは決定されている)二人の完璧なユニゾンで奏する「モノローグ」とで出来ている。また、朗読だけ、朗読とアクションだけ、ハプニング(懐かしい響き!)も含まれる。

「31の断片」は短い破片の展示会みたいなもの。
中にはたった1音のものもある(壺の断片だけケースに陳列されても、何のことか分からないよねぇ!)。

私は、あと味のよくないもの、座りの悪い(構成されていない)またはバランスが大変悪いもの、場違いなもの、奇を衒ったもの、古くさいもの、吟味されていないもの、根拠のない即興演奏などを、それを最初から狙うのでなく普通に真面目に作曲していて、結果としてそうなってしまう、そして何だかわからないけど美しく、うっかりすると涙が出る…ようものを心がけて来た。

また演奏家のお二人には、自分の持ち楽器以外のものも演奏して頂かなくてはならなく、大変なコンセントレーションが要求され、目下のところ彼ら以外には、演奏の可能性が考えられない。
主宰の梶さん、神長さんと合わせてお二人に深謝。
【中川俊郎・記】

追記:2013/03/18第5回演奏会の再演に当たり、いくつかの曲において、細かい改訂が行われた。その多くは、初稿において極めて即興的
な記譜のなされていた場所に、より精緻な「リアリゼーションの一例」を示すことで示されている。【橋本晋哉】